イベント開催時はアンケートでお客様の声を聞くチャンス

どんなイベントも、お客様と直接接することのできる貴重な機会になります。

ビジネスの改善に繋がる貴重な情報を得るチャンスですので、なんとなくアンケートをとってしまうと非常にもったいないです。

「じゃあ、何を聞けばいいの?」
「イベントのアンケートで何ができるの?」

市場調査会社でアンケート調査の実施を7年以上経験してきた私が、設問例を交えて解説します。

様々なイベントがありますが、アンケートについては根本的な部分は一緒です。
ぜひイベント開催前に読んでみてください。

イベント時のアンケートでできること8つ

イベント開催時のアンケートでできることは以下があります。

  1. ターゲット(お客様像)を明確にする
  2. 認知経路を把握して販促に活かす
  3. 強みや魅力点を把握し、販促やコンテンツ開発に活かす
  4. 競合(ライバル)について知る
  5. 申し込み率を上げる
  6. イベント内容を改善する
  7. 販促用の「お客様の声」の収集
  8. 顧客リストの取得

たくさんありますね。
こんなに色々なことができるのにアンケートをとらないなんてもったいないです。

でも全部聞くと結構なボリュームになってしまいますので、まずは目的を絞る必要があります。

例えば、「このアンケートは、イベントの強みを明確にして集客用のワードをブラッシュアップするためにとる!」のように、アンケートのメインの目的をひとつ決めてください(一番解決したいの課題は何なのかを考える)。

目的を絞ることで、アンケート結果をスムーズにアクションに結びつけやすくなります。

設問数に余裕があったら他の設問も聞いておく、くらいでちょうどよいです。

イベントの内容やどのような状況でアンケートをとるかにもよりますが、10~15問程度(紙であればA4 1枚)にまとめるのがお勧めです。

それではイベント時のアンケートでできること8つ、解説していきます。

1.イベントのアンケートでターゲット(お客様像)を明確にする

お客様像を明確にするための項目としては、以下があげられます。

  • 性別
  • 年代
  • 未既婚
  • 居住地
  • 職業
  • 子供の有無(家族構成)
  • 関連商品購入歴 ・イベントへの参加歴

いわゆる、基本情報・属性情報というものです。
どんな人がイベントに来てくれたのか、ターゲットを明確にするための設問ですね。
ターゲットが明確になると、販促やサービス開発・改善に活きてきます。

これらの項目を全部聞くべき、ということではありません。

性年代くらいは取ることがほとんどだと思いますが、 他についてはイベントの内容や目的によって、どんな項目を聞くのかを考えましょう。

未既婚

基本的な情報ではありますが、聞く必要のないケースが多いと思います。
迷ったら聞かないほうが無難です。

答えたくない人もいますし、例えば婚活イベントであれば未婚者であることは聞かなくてもわかります。

あまり無いとは思いますが、自分の商品が既婚者と独身の方、どちらに受けが良いのかを知りたい場合は聞いておきましょう。

居住地

居住地は、特に地域性の高いイベントの場合に、例えばチラシ配布のエリアを決めるために有効ですね。
イベントの開催場所を決めるのにも役立つかもしれません。
それらがメインの課題であれば聞いておきましょう。

  • 都道府県
  • 最寄り駅
  • 郵便番号

都道府県だけ確認することが多いと思いますが、商圏が狭かったり、細かく確認したい場合は郵便番号最寄り駅を聞いておくと良いと思います(個人情報を必須でとるようなアンケートの場合は、最後に聞けばOKです)。

職業

職業は、聞く必要があるイベントと、聞く必要が無いイベントに分かれます。

例えば、英会話教室の無料体験イベントに、会社員と主婦どちらも参加している場合、それぞれ目的や魅力に感じる点が異なることが予想されます。

この場合は、どちら割合が多いのか、どちらの入会意向が高いのか、などを把握し、メインのターゲットを明確にすることが重要です。

そのような場合は以下のような設問が良いでしょう。

Q.あなたの職業を教えてください。
1.会社員
2.会社役員・経営者
3.自営業・自由業
4.パート・アルバイト
5.主婦・主夫
6.学生
7.その他(コメント欄      )

上記は経営者か、従業員か、という分類軸ですが、働いている時間で区切る方が良いケースもあります。

Q.あなたの勤務状況を教えてください
1.フルタイム勤務
2.パートタイム勤務
3.その他(コメント欄      )

また、異業種交流会のようなイベントだったり、限定した職種向けのイベントであれば、上記に加えてより詳細な業種や職種が把握できると良いですね。

ある程度業種が絞れている場合は選択肢化すると良いですが、幅広い業種が対象であったり、見当がつかない場合は、以下のように記述式で答えてもらう形が良いと思います。

Q.業種(事業内容)を教えてください。
  記入例:機械部品メーカー、雑貨系ECサイト運営 など

Q.職種を教えてください。
  記入例:営業、販売、事務、研究職…

子供の有無(家族構成)

家族構成も、目的やイベント内容に応じて聞くかどうかを判断しましょう。

特に、子供のいる人といない人、または子供の年齢によって参加意向や魅力度に違いが見られそうなイベントであれば聞くと良いでしょう。

子供の年齢が重要なわかりやすい例としては、学習塾の無料体験イベントがありますが、BtoCのイベントであれば、子供の有無によって違いがみられるケースは意外と多いです。

例えば、住宅の展示会。住宅のタイプによって客層が変わると思いますが、小さい子供のいる方がターゲットなのか、夫婦での生活を楽しみたい人が多いのかによって、訴求すべき内容は大きく変わります。

Q.同居しているご家族を教えてください。
1.配偶者
2.子供(未就学)
3.子供(小学生)
4.子供(中学生)
5.子供(高校生以上)
6.親(義理の親を含む)
7.その他の同居家族(FA     )
8.ひとり暮らし

関連商品の購入歴・イベント参加歴

Q.1年以内に○○関連のイベントに参加しましたか?
1.はい
2.いいえ

Q.1年以内に参加した○○関連のイベントを教えてください。
(記入欄)

基本情報とは少し異なりますが、どんな人なのかを把握するためにぜひ押さえておきたい項目です。

例えば学習塾の体験イベントであれば、「どんな教材を購入しているか」「他に塾関連のイベントに参加しているか」「塾に通っていたことはあるか(どこに通っていたか)」このあたりを聞いておくと、どんな意識を持っている人がイベントに来てくれているのかをイメージしやすくなります。

自動車関連のイベントであれば、乗っている車や、他の自動車関連のイベント参加有無は参考になるでしょう。

「購入歴」や「参加歴」は、「事実(行動)」なので、非常に信憑性の高い情報です。

例えば、英会話教室の無料体験の場合、英語やその他の勉強に関してお金を全くかけていない人は、「無料だから」来ている可能性があります。

そのような人にアンケートで改善点を聞くと、「価格が高い」と答えますが、安くしたところで入会はしません。

「英語を学ぶことに対してお金を払いたくない人」はターゲットではないので、その人の意見を参考にしてはいけません。

逆に、その英会話教室と同等かそれ以上の金額の教材や英会話教室を利用したことのある人の意見であれば、大いに参考になると思います。

それを判断するために「購入歴」や「参加歴」を聞くのがお勧めです。

2.イベントのアンケートで認知経路を把握し、販促に活かす

アンケートの定番、認知経路。
どの広告媒体にコストをかけるかを決めたり、検索キーワードを探ります。

アンケートを取らなくても申込み経路がわかる場合は聞く必要はありません。
また、選択肢は必要なものだけに厳選しましょう。

以下、設問の一例です。

<認知経路設問例1>
Q.このイベントを何で知りましたか?(ひとつだけ◯)
1.イベントサイト(こくちーず、Peatix等)
2.Facebook
3.Twitter
4.Instagram
5.Amebaブログ
6.チラシ
7.当社ホームページ
8.メールマガジン
9.知人のクチコミ
10.その他(コメント欄         )

認知経路を聞くだけなんて簡単、と思うかもしれませんが、注意が必要です。

例えば、Google検索で自社ホームページにたどり着いた場合、「Google検索」と「自社ホームページ」の選択肢がどちらもあると、どちらが選ばれるかわからない、という問題があります。

ですので、「検索したかどうかは置いておいて、どのサイトや媒体にたどり着いているのかを知りたい」という場合は、上記の聞き方で良いのですが、「検索キーワード」を知りたい場合は以下ののように聞くのがお勧めです。

<認知経路設問例2>
Q.このイベントをどうやって知りましたか?
1.検索エンジン(Google、yahoo!等)で検索した
2.SNSやイベントサイト内で検索した
3.その他(コメント欄            )

<認知経路設問例3>
Q.検索で知った方は、どのようなキーワードで検索したかを教えてください。
(コメント欄                 )

「認知経路」と「検索キーワード」の把握がメインの課題である場合は、設問例1~3まですべて聞いておくのが良いでしょう。

認知経路はイベント後に聞くケースも多いですが、申し込み時にとれるのであればそれがベストです。特に検索キーワードはイベント当日には忘れてしまっていることも多いからです。

3. イベントのアンケートで、強みや魅力点を把握し、販促やコンテンツ開発に活か

サービスや商品の「強み(コアな価値・魅力点)」を把握することは非常に重要です。

「このイベントは、<強みワード>です!」

とシャープに言えるようになると、販促にも活きますし、イベントのコンテンツの設定にも活きてきます。

販促については、「誰に」「何を伝えるべきか」が明確になっていないと、どこに広告を打てばよいかも決まらないですし、効果が薄くなります。
強みを把握するということは、「何を伝えるべきか」を知るということです。

イベントのコンテンツについては、「○○な方が、△△をしたくて、□□を魅力に感じて参加するイベントです」と言えるものを検討するのが良いですね。

それらを把握し、検討するための情報をアンケートでとりましょう。
そのための設問例をいくつかあげていきます。

記述式か選択式か

回答する人数が少なかったり、お客様の気持ちに見当がつかない場合は、まずは「記述式(自由回答)」で文字で書いてもらうのがお勧めです。
回答を読み込んで、ターゲットとなるお客様の悩みとイベントの強みを理解していく、ということです。

ある程度回答内容の予測がつき、かつ回答数が多いようであれば選択肢で答えてもらい、割合を確認していく形も良いと思います。

仮説を出したいときは「記述式」、検証したいときは「選択式」です。

課題解決型のイベントの場合

Q.どのような課題や悩みを解決したくてこのイベントに申し込みましたか?

起業塾、自己啓発系セミナー、ダイエット・エステサロンなど、「起業したいけど不安」「コミュニケーションが苦手だから克服したい」「痩せたい」のように、マイナスの状態をプラスに変えるタイプのイベントやサービスであれば、上記のような質問がお勧めです。

「参加理由は?」という聞き方をすると、記述式回答の場合、「価格が安い」「家が近い」「興味があった」などと浅い答えが多くなるためです。

ワンランク上を目指す系のイベント

Q.どんな自分になりたいと思って申し込みましたか?
または…
Q.このイベントに参加して何を得たいですか?

悩みは無いけどワンランク上を目指したい系のイベントであればこのような聞き方がおすすめです。
どのような人が、何に惹かれて参加したのかがイメージできます。

純粋に楽しむ系のイベント

課題を解決するのではなく、音楽ライブなど「純粋に楽しむ」内容のイベントの場合は、参加理由を聞きましょう。後述します。

イベント全般<参加理由・決め手>

Q.このイベントに申し込んだ理由として、最もあてはまるものをひとつお選びください。

参加理由の選択肢は、イベントに合わせて調整してください。

参加理由を聞く設問は、迷ったら「ひとつだけ選択」にすることをおすすめします。
複数回答させると、どれが一番重要なのかわからなかったり、分析が大変になります。

4.競合を把握する/競合との差別化ポイントを知る

Q.このイベントを申し込む際に、他のイベントと迷いましたか?
1.はい
2.いいえ

Q.どんなイベントと迷いましたか?
  (コメント欄)

Q.他にも様々なイベントがある中で、このイベントに申し込んだ決め手は何ですか?

競合イベントと比較したときの強み(差別化ポイント)を把握するための設問です。

開催するイベントの魅力点だけを聞くと、ありきたりな回答が多くなり、そのイベントならではの強みが把握できないことがあります。

5.申し込み率を上げる

Q.このイベントを知ってから申し込むかどうか迷いはありましたか?
1.全く迷わずに申し込んだ
2.申し込むか少し迷った
3.申し込むかかなり迷った

Q.前問で「選択肢2または3」を選んだ人のみお答えください。
  このセミナーを申し込む前に、どのような「不安」がありましたか?

申し込む際の不安(ハードル)を知って改善すれば、申し込み率が上がります。

6.イベント内容の改善

Q.このイベントで最も関心を持った内容をひとつお選びください。

ターゲットが最も関心を持っている内容を充実させて、満足度を高めましょう。

イベントの満足度が高い方や、商品購入につながった方の回答を参考にすることがポイントです。
イベントに満足していない人はターゲットではない可能性が高いため、その人に合わせてしまうと、本来のターゲットの満足度が下がる可能性があります(もちろん、本来のターゲットの満足度が低い場合は改善が必要ですが)。

Q.本イベントの満足度を教えてください。
1.満足
2.やや満足
3.どちらともいえない
4.やや不満
5.不満

Q.満足度の理由を教えてください。

満足度とその理由をざっくり知りたいとき用の定番の設問です。

不満な理由は改善情報として使用できます。
ただし、先ほども述べましたが、ターゲットではない人の不満点は参考にしないように注意が必要です。

また、最近はNPSといって、満足度ではなく「このイベントを誰かにお勧めしたいか」を11段階で聞く形も流行っていますが、集計が大変、多くの回答数が必要、何かと比較しないと結果が良いのか悪いのかわからない、質問文によって回答傾向が変わる、といったデメリットがあります。
よっぽどの理由がなければ、上記のようにシンプルに5段階(もしくは7段階)で聞くのがお勧めです。

Q.「1.満足」を選ばなかった方にお聞きします。
どうなれば評価がもう一段階上がりますか?

全体的に満足度が高いイベントの場合、満足度とその理由だけでは改善点が出てこないので、そんなときにさらに良いイベントにするための改善ポイントを探る設問です。

「不満」を「満足」に変える方法を参加者に聞くのは難しいですが、「もう少し満足度が高まるには?」と聞くことで、現実的な回答が期待できます。

Q.申し込む前の「悩み」や「課題」はどの程度解決しましたか。
1.完全に解決した
2.ほとんど解決した
3.一部解決した
4.ほぼ解決しなかった
5.全く解決しなかった

Q.完全に解決しなかった方にお聞きします。
悩みや課題が完全に解決しなかった理由を教えてください。

課題解決型のイベントの場合の、改善点を探る設問です。

また、バックエンドを売る目的のイベントの場合(会員に申し込んでもらう目的の無料イベントなど)は、この設問で解決しなかった理由を把握し、「バックエンドでそれが解決します!」と訴求することで申し込みを促すこともできます。

7.販促用の「お客様の声」の収集

Q.このイベントの感想・良かった点を教えてください(みなさまのコメントが今後のイベント運営の励みになります)。
【記入例】全く○○について知りませんでしたが、初心者でもわかりやすいように丁寧に一から教えてくれたのでわかりやすく、今日から取り組める内容が多かったので、すぐに○○ができるようになりそうです。
今まで自力で○○になろうとしてきて限界を感じていましたが、今日のイベントに参加して本当に良かったです!!(^^)今後ともよろしくお願いします!!

直筆のお客様の声を集めてHPやLPに載せたい、という場合の設問例です。
できるだけポジティブなことをたくさん書いてもらうために設問文に「良かった点」と具体的に入れておき、運営側の気持ち(励みになる)も入れ、長めの記入例もつけています。
たくさん書いてもらうために記入欄は大きくとりましょう。

これがメインの目的であれば、他の設問は最小限にした方がよいでしょう。
回答に疲れてしまったり、前の設問と内容が重複するとあまり書いてくれなくなる恐れがあります。

8.顧客リストの取得

Q.よろしければ本日の資料をご送付いたしますので、お名前とメールアドレスをご記入ください。
※ご記入いただいた情報は、個人情報保護方針に基づき本イベント関連サービスのお知らせのみに使用します。第三者機関への提供は行いません。

これは説明するまでもないですが、個人情報を取得する設問です。
今後のためにぜひとっておきたいですよね。

特典を送るために、という形だとスムーズに書いてくれると思います。

個人情報の管理は厳重にしてください。

まとめ

イベントのアンケートで聞けること8つ、いかがでしたか?

繰り返しになりますが、全部は聞けません。
目的を絞ることが大切です。

アンケートで一番重要なのは、目的(アンケートで解決したい課題)を明確にすることです。
まずそれをしっかり検討してから、設問例を参考にしつつ、あなたのイベントにマッチした聞き方に調整してください。

そうすることで、アンケート(お客様の声)があなたのビジネスを成長させる源泉となります。