迷ったら単一回答(ひとつ選択)がお勧め
アンケート調査で設問を作るとき、
「複数回答(すべて選択)にするか、単一回答(ひとつだけ選択)にするか」で迷うことがあると思います。
結論から言うと、
複数回答か単一回答か、迷ったら単一回答(1つだけ選ぶ形式)をおすすめします。
複数回答形式は、結果の解釈や活用が難しくなりやすいからです。
複数回答形式のデメリット
複数回答形式とは、
「当てはまるものをすべて選んでください」
のように、
複数の選択肢を同時に選べる設問形式のことです。
一見すると、
- 回答者の実態を広く拾えそう
- 情報量が多く取れそう
に見えるのですが、
実際には注意すべき点が多くあります。
デメリット① 回答精度の懸念
複数回答形式では、
「当てはまるものをすべて選んでいる」前提で結果を見ることが多いと思います。
しかし実際には、
- 選択肢が多い
- 回答に時間がかかる
といった理由から、
本当は当てはまるのに選ばれていない選択肢が必ず出てきます。
具体例:好きな食べ物のアンケート
例えば、
好きな食べ物をすべて選んでください
という設問で、
次のような10個の選択肢があったとします。
- チョコレート
- ケーキ
- クッキー
- アイスクリーム
- 和菓子
- 米菓(せんべい、おかき等)
- 菓子パン
- フルーツ
- スナック菓子
- プリン・ゼリー
上記の食品全てが好きだった場合、10個漏れなく選択できる人がどれだけいるか?を考えてみてください。
実際のところ、
- 目についたものだけ選んで次に進む
- 2〜3個選んだら十分だと感じる
という回答者は少なくありません。
それをふまえると…
「選ばれていない=好きではない」とは言えません。
例えばこの設問(複数回答)の集計結果で、
- チョコレート:60%
と出た場合、
つい
「チョコレートが好きな人は60%」
と言いたくなります。
しかし実際には、
- 好きだけど選ばなかった人
- 他の選択肢を優先して選んだ人
が必ず含まれます。
複数回答では、
「選ばれていない=好きではない」
とは言えない、ということは理解しておく必要があります。
デメリット② 比較がしにくい
複数回答では、
人によって「選ぶ数」が大きく異なります。
例えば、
- 年代が高めの女性は、当てはまるものを多く選ぶ
- 若い男性は、選択数がそもそも少ない
といった傾向が見られることがあります。
この場合、結果に出ている差が、
- 本当に好みの違いなのか
- 単なる回答スタイルの違いなのか
判断しづらくなります。
そのため、
性別・年代別の比較が難しくなるケースがあります。
デメリット③ 結果を意思決定に使いづらい
複数回答形式の最大の弱点は、
結果をその後の意思決定に使いにくいことです。
複数回答の結果から言えるのは、
選択肢の中で比較した際に、どのくらい差があるか
までです。
しかし、
- どれくらい強く好きなのか
- どの程度優先度が高いのか
といった**「好きの強さ」**はわかりません。
同じ「選択」でも意味が違う
例えば、
- チョコレート
- ケーキ
を両方選んだ人がいたとしても、
- チョコレートが一番好きで毎日食べている
- ケーキは嫌いではないので一応選んだ
のか、
- ケーキが圧倒的に好き
- チョコレートはたまに食べる程度
なのかは、結果からは判断できません。
どちらも「選択されている」という点では、
同じ扱いになってしまいます。
集計結果が、
- チョコレート:60%
- ケーキ:50%
だった場合、
「チョコレートの方が人気が高いかも」
と考えることはできます。
ただし、
- 定期的に買いたくなるほど好きな人が多いのか
- なんとなく選んだ人が多いのか
はわかりません。
そのため、
「この結果をもとに、何を優先すべきか」
という判断がしづらくなります。
デメリット④複数回答はクロス集計の軸として使えない
例えば、スナック菓子を買う人と、米菓を買う人で、スーパーマーケットの利用頻度を比較したい場合、複数回答だとスナック菓子も米菓も両方選択する人がいるため、クロス集計での比較には向きません。集計時に加工が必要になります。
また、厳密には以下のような人が含まれますが、複数回答形式ではこれはわかりません。
・スナック菓子のみを購入する(米菓は買わない)
・スナック菓子も米菓も購入するが、スナック菓子の方が購入頻度が多い
・スナック菓子も米菓も購入するが、米菓の方が購入頻度が多い
・米菓のみを購入する(スナック菓子は買わない)
ですので、「スナック菓子を買う人と米菓を買う人でスーパーマーケットの利用頻度の多さを比較する」等、クロス集計の軸として使うことが目的の場合は、複数回答にしてはいけません。
どんな時に複数回答が適しているか
上記をふまえると、複数回答が適しているのは、「選択肢間でどれが多いのかをざっくり比較したい時」です。
例えば、購入する人が多いのはスナック菓子なのか、チョコレートなのか、せんべいなのか、複数の中から多い少ないを見たい時は、複数回答が適しています。
ただし、購入頻度を比較したい場合は、それぞれ単一回答で頻度を聞くべきです。
Q.スナック菓子を購入する頻度をお選びください(ほぼ毎日~半年に1回未満)
Q.チョコレートを購入する頻度をお選びください(ほぼ毎日~半年に1回未満)
Q.米菓を購入する頻度をお選びください(ほぼ毎日~半年に1回未満)
また、ピンポイントで、チョコレートの購入率を知りたい場合も単一回答です。
Q.1か月以内にチョコレートを購入しましたか?(はい/いいえ)
複数回答だと、前述の通り選択漏れが出るので、上記のように単一回答で聞くよりも購入率が低く出てしまいます。
複数回答で聞く場合のコツ
複数回答を使う場合、デメリットを解消するために、次のような工夫が有効な場合があります。
方法① 選択数を制限する
- 「3つまで選んでください」
のように選択数を限定すると、
優先度の高いものを判断できるため、意思決定に結果を利用しやすくなります。
方法② 複数回答+単一回答の2段階にする
1問目:
- 当てはまるものをすべて選んでください
2問目:
- その中で、最も当てはまるものを1つ選んでください
このようにすることで、
- 全体像
- 優先度の高さ
の両方を把握できます。
まとめ:迷ったら単一回答がおすすめ
- 回答精度の高さ
- 意思決定への使いやすさ
- 分析しやすさ
という点で、
単一回答形式の方が圧倒的に扱いやすいです。
複数回答は便利そうに見えますが、
目的を意識せずに使うと、
「結局、この結果どう使えばいいの?」
という状態になりがちです。
設問を作る際は、
アンケート結果をどのように使うのかを、先に具体的に考えることが大切です。
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